« 映画「太陽」に思う | メイン | 新宿2丁目のオカマに聞け! 傑作選 »

吉牛復活に考える企業ブランディング

今月、吉野家の牛丼が期間限定で復活しました。

yoshinoya2.JPG


年を取ってからは、あまり食べなくなりましたが、
若い頃には縁さえ感じるくらい愛着がありました。

まず、中学の時の同級生に吉野家の創業者一族のお嬢さんがいたこと。
次に、学生時代には友人がたくさんバイトしていたこと。
(よく、牛丼用の肉を1kg単位で安く分けてもらって、
私のアパートですき焼きパーティをしました)

10代後半から20代前半の私の体の半分は
吉野家で構成されていたと言っても過言ではないでしょう。

今回の牛丼販売停止はBSEに端を発したアメリカ牛肉輸入禁止から
始まったことはご存じの通りですが、
何故、吉野家はアメリカ牛にこだわったのでしょうか。

牛丼にこだわるのであれば、
他店のようにオーストラリア産に転換する道もあった筈です。

おそらく、吉野家さんは味もさることながら、
「牛丼=安い」と言うブランディングにこだわったのだと考えます。

この事件で、私が想像する対応策は以下の通りです。

1.値上げによる「牛丼=安い」イメージを壊すリスク対応
2.長年愛されてきた味を変えるリスク対応
3.これを好機ととらえた他メニューの開発
4.アメリカ牛へこだわりを見せることでの広告効果


上記を総合的に判断して、牛丼販売停止を選択し、
結果としては、4番目が最も功を奏したのではないでしょうか。

yoshinoya.JPG

おそらくは、吉野家さん自身も
こんなに輸入再開が延びるとは予測されていなかったと思います。

事情はどうあれ二期連続赤字計上は、
経営陣は予想外でしょうし、忸怩たるものがあったかと推察します。

また、値上げ覚悟でオーストリア産などの
他の牛肉を使用することへの
大きな迷いもあったと思います。

コピーライター時代に他の牛丼チェーンの
フランチャイズ募集パンフレットを制作したことがあり、
オーナーインタビューをしました。

あるオーナーが言った言葉が印象に残っています。

「いま時、500円以下(当時牛丼並は350円)で腹いっぱいになる食い物なんて
牛丼しかないでしょ。だから、牛丼は廃れないと思って始めました」

確かに牛丼と並んで三大国民食と言われるカレーやラーメンでも
500円以下のものはありますが、
牛丼ほどの満足感を得られませんし、
満足感を追求するともっと高価なメニューになってしまいます。

安くて、満足感がある、これが牛丼なんですね。

もし、吉野家の社長が「牛丼=安い」と言う
ブランディングにこだわらなければ、
これほどの広告効果も生まれなかったでしょう。

これで、吉野家の牛丼に対するハングリーマーケットが形成されて、
しばらく吉野家は安泰だと思います。
(アメリカがまたバカなことをしなければですが。。)

我慢の甲斐があって、「牛丼=安い」のうえに、
さらに「牛丼=吉野家」のブランドが完成されたと思います。


gyuudon.JPG


経営者としては、企業ブランディングの形成には
本業へのこだわりと、時には我慢も必要だと言う面で
大変勉強させられました。


∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞人人天女辰奈辰口急急如律令∞
☆面白いと思ったら、拍手代わりにクリック!
☆つまらないと思ったら、サンドバック代わりにクリック!
☆何も感じなかったら、気分転換にクリック!
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓

人気ブログランキングへ

« 映画「太陽」に思う | メイン | 新宿2丁目のオカマに聞け! 傑作選 »

プロフィール

渡邊 隆
株式会社アジャスト
代表取締役兼CEO

詳細なプロフィール

カレンダー

2012年11月
S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

ブログの読者になる

My Yahoo!RSSリーダーなどのツールがあれば、このコラムが更新されると同時に内容を読んでいただくことが可能になります。

RSSAtom

人気ブログランキングへ投票

人気ブログランキングへ